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「あーその話、知ってるわよ」
「何で」
「その件、香澄から相談されたから」
「ほ、本当に!?」
涼は、ものすごいスピードで拓人に詰め寄り、そして壁ドンで逃げられないようにした。
「ちょっと!!食い気味に来ないで!怖い!キモい!」
「香澄が、何て?ねえたっくん。何て?何て?」
「…………近い近い近い、マジで近いほんと近い」
涼の唇と拓人の頬との距離が1cmくらいしかないので、ダイレクトに涼の息がかかる。息までいい香りがするのが、拓人はいちいち腹立たしかった。
「無駄に息までいい香りさせてるんじゃないわよ。芸能人でもそこまで気を遣わないわよ」
「いつでも香澄にキスしたいからね」
「今度その歯磨き粉にニンニク仕込んであげるわ」
拓人は、グイッと涼の胸を押して、どうにかパーソナルスペースを保ってから話を再開した。
「逆に聞くけど、あんた香澄からお風呂のお誘い来てないの?」
「そんなのあったらこんな場所にこんな時間に来ないから」
「ええそうね。ほんと良い迷惑だから2度と来て欲しくないわ。……で、香澄についてだけど……」
香澄からそのメッセージを受け取ったのは、時期から考えると涼のエピソードの次の日くらいだろう。
最初の1行目にこう書かれていた。
「私、涼先生に嫌われてしまったかもしれません」
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