第1章 SSRって、何?

17/81

1927人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
「あーその話、知ってるわよ」 「何で」 「その件、香澄から相談されたから」 「ほ、本当に!?」  涼は、ものすごいスピードで拓人に詰め寄り、そして壁ドンで逃げられないようにした。 「ちょっと!!食い気味に来ないで!怖い!キモい!」 「香澄が、何て?ねえたっくん。何て?何て?」 「…………近い近い近い、マジで近いほんと近い」  涼の唇と拓人の頬との距離が1cmくらいしかないので、ダイレクトに涼の息がかかる。息までいい香りがするのが、拓人はいちいち腹立たしかった。 「無駄に息までいい香りさせてるんじゃないわよ。芸能人でもそこまで気を遣わないわよ」 「いつでも香澄にキスしたいからね」 「今度その歯磨き粉にニンニク仕込んであげるわ」  拓人は、グイッと涼の胸を押して、どうにかパーソナルスペースを保ってから話を再開した。 「逆に聞くけど、あんた香澄からお風呂のお誘い来てないの?」 「そんなのあったらこんな場所にこんな時間に来ないから」 「ええそうね。ほんと良い迷惑だから2度と来て欲しくないわ。……で、香澄についてだけど……」  香澄からそのメッセージを受け取ったのは、時期から考えると涼のエピソードの次の日くらいだろう。  最初の1行目にこう書かれていた。 「私、涼先生に嫌われてしまったかもしれません」
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1927人が本棚に入れています
本棚に追加