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「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………え?」
「反応まで30秒は、流石にかかりすぎじゃないの?」
涼の脳みそに概念として存在しない文章がいきなり飛び出してきたので、涼
は全身からフリーズしてしまっていたのだ。
「どこが、どういう流れで僕が香澄を嫌うことがあると?ねえ、どういうこと?」
「どういうことって!あの子のこれまでを考えればわかるでしょう!?」
「え?」
「あの子は、元々ずっとおひとりさまで生きていく満々だったし、母親もアレでしょう?」
「……それが?」
「で、あんたそのお風呂の後だけど……1度でも香澄を誘った?」
「そ、それは…………」
実は、涼はその以降香澄をお風呂に誘えていなかった。
正確に言えば、涼も涼で
「これ以上プッシュして、香澄に嫌がられたら嫌だ。もっと香澄の心に余裕ができた時に、たくさん可愛がってあげたい」
と思ったので、タイミングを見計らっていたところだったのだ。
それを拓人に包み隠さず言うと
「はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………………」
「たっくん、何そのため息」
「私は別に、あんたと香澄の仲をまだ認めてないし、できれば早く別れてほしいと思ってるけど」
「死んでも嫌だね。何かしたらたっくんのこと一生許さないから」
「だからまだ何もしてないでしょう!」
「……まだ?」
「人の言葉の揚げ足を取らない!ったく……」
拓人は、ご自慢の月数万円かけて整えている髪をぐしゃぐしゃかきむしってから
「あの子は1回断っただけで誘われなくなったから、悪いことしちゃった、嫌われちゃった、捨てられる、どうしよう……そんな負のループに突入してたのよ」
「あり得ないね」
「いっそあり得て欲しいと私は思ってるけどね。あんたに捨てられさえすれば、香澄はいちいちあんたのことで悩まずに、仕事に集中できるんだから……ってちょっと。何ニヤニヤしてんのよ」
「か、香澄が、僕に嫌われたかと思って、悩んでくれてるなんて……そんな可愛いことを…………」
「…………ああ!もう!あんたのためなんかじゃないから!私の、可愛い香澄のためなんだから!」
そう言うと、拓人は急いでスマホに何かを打ち込んでいた。
「ほら、このメッセージ送ってあげたから、あとは自分でどうにかしなさい」
そこに書かれていたのは……。
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