第1章 SSRって、何?

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 香澄にとって、二次元は荒んだ心を整えてくれる癒し。  グッズは、できるなら山ほど欲しいし埋もれたいと日々思っている。  推しに囲まれる生活は、衣食住で精一杯だった時代から強く憧れてもいたから。  だから、ぬいぐるみやアクスタを集めて、ニヤニヤと眺められる今は幸せだと思ってる。  限定品とか、今しか手に入らない系のものは、出会っただけで 「生まれてくれてありがとう!」  と、本気で香澄は思っている。   (でも、それと涼先生とのことは……やっぱり違うんだよね……)  体温を感じられる幸せも、その人の匂いを嗅いでるだけで落ち着く心も。  それは全部三次元ならでは。  香澄は知ってしまったのだ。三次元で男に愛される心地よさを。  もし、それらを完全に手放せるかどうか聞かれたら、今の香澄には自信がない。  だからこそ、香澄は三次元での初めての恋愛に向き合い続けることは、少ししんどいとも思い始めていた。  涼のことは好き。  でも、二次元の恋愛攻略はとっても簡単なのに、三次元は難しくてほんの少し苦しい。   「一体いつになれば、三次元でちゃんと恋愛できるようになるんだろう……」  そんな自信が少しでも欲しくて、まずは女磨きをできるだけのお金が欲しい、と思った結果の今。  でもその自分の選択が、どこかチグハグなんじゃないかと思い始めてもいた。   「怖いな……」  このあと、涼と向き合うのが。  いっそ、眠ってしまおうか。  そう思ったまさにその時、スマホにメッセージが届いた。 「先輩……?」  そこに書かれていたのは……。 「このまま風呂の準備だけして、起きて待ってなさい……?」
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