第1章 SSRって、何?

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 涼が手にしたのは、手のひらサイズの四角い袋。  パッケージに桃が描かれている。 「入浴剤ですか?」 「そうだよ」  涼は封を切って中身を取り出す。  桃の形をしたタブレットが出てきた。 「可愛い……」 「やっぱりね。こういうの好きそうだと思ったよ」  そのまま涼は、タブレットをお湯の中に落とすと、薄桃色がじわじわと広がっていった。 「こういうの好きそうって?」 「香澄の部屋を見ていれば分かるよ、ちょっとした小物1つでも、花や猫、リボン、ハートとか、可愛いマークがついてるものが多いから」 「そ、それは……」  香澄の部屋にある雑貨のほとんどは100円ショップや300円ショップで買い揃えたものばかりだ。  ただ、用途を満たすためだけであれば、マークも柄もないシンプルな物でも十分よかった。  けれど、どうせ同じ金額を払うならば、少しでも気持ちを盛り上げるものがいいと思って選んだ。  今思うと、もう少し部屋のコーディネートを意識して選べばよかったのかもしれないと、香澄は自分の部屋の雑多さを思い出して後悔した。  そして、そんな部屋を雑貨まで涼に観察されていたことも、香澄は恥ずかしかった。 「すみません、センスが悪い部屋ですよね」 「僕は好きだよ。どんな部屋でも」 「え?」 「だって、あそこが香澄の部屋だから、ね。でも……」  そう言いながら、涼は香澄のお腹を撫でた。 「ひゃっ!」 「僕がいるのに、部屋に閉じこもるのだけは、いただけないけどね」
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