第1章 SSRって、何?

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 それは、つい数時間前のこと。  ここ数日、涼をも悩ませる難易度高い弁護士仕事が、ようやく今日落ち着いた。  寝に帰るだけだった1週間は、涼にとっては生き地獄に等しかった。  何故なら、香澄とほとんど会話することが出来なかったから。  もうすでに、和室を改良して2人の寝室にしているため、起きる時と眠る時だけは香澄の顔を見ることができたが、それだけでは涼にとって足りない。  香澄と会話をするのが好き。  好きだと囁いた時の照れる表情が好き。  そしてキスをするときの吐息や、その後に見せる恥ずかしがる仕草が好き。  1つ1つを言語化していくとキリがないくらい、涼は香澄にどっぷりと沼っていた。 (久しぶりに起きている香澄に会える……!)  フェラーリを法定速度ギリギリで飛ばしながら、香澄と会ったらどんな話をしようか、そもそも話す前にキスするのはどうだろうか、など鼻歌を歌いながら妄想していた。  そんな涼が、意気揚々と家に入り、リビングを覗いた時。香澄はリビングのソファに寝そべりながスマホを真剣な眼差しで見つめていた。 (またか……)  涼は、今度こそスマホ画面より自分の方を真っ先に見てもらうために、わざとらしく咳払いをしてから 「ただいま、香澄」  と言いながらリビングに入った。
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