第1章 SSRって、何?

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 涼はそのまま、香澄の肩に顎を乗せながら、今度は香澄の右腕に薄桃色のお湯をかけ続けた。 「どう?」  涼が何かを囁く度に、香澄の耳の後ろに涼の息がかかる。  その度に、香澄はお腹の部分が疼いてしまった。   「ど、どうって……」 「妊娠中って、肌が敏感になったり、乾燥しやすくなるんでしょう?」 「そ、そそそう……ですね……」  昔から乾燥肌の香澄だったが、妊娠してから余計に乾燥を意識するようになっていたところだった。  でも、そんなことを涼に言ったことはなかった。 「どうして、分かったんですか?」 「香澄のことなら、僕は何でもわかるよ」  そう言いながら、涼は右腕を優しく撫で始めた。 「涼、先生?何をしているんですか?」  入浴剤によってとろりとした触り心地になったお湯のおかげで、滑らかに涼の手が香澄の腕の上を動いていく。 「マッサージ。ライターは腕が疲れるんでしょう?」 「そ、そんなことをどうして」 「秘密。それより、僕の手に集中して」 「集中って……んんっ……」  ただ摩られているだけなのにどうしてだろう。  涼に与えられる繋がる時の快感が、蘇ってきてしまう。 「や、やめてください」 「どうしたの?香澄」 「赤ちゃんが……見てます……」  吐息混じりの香澄の声を聞き、涼はくすっと笑った。 「感じちゃった?」 「そ、そんなこと……」  ないと口で言おうとしても、あると香澄の声のトーンは言っていた。 「香澄、大丈夫だよ」 「え?」 「僕たちの赤ちゃんは、僕たちが仲がいい方が喜ぶよ」  そう言いながら、涼は左腕も同じようにマッサージした。  それを数分ほど繰り返した後、突然涼は 「じゃあ上がろっか」  と言うなり、香澄の体を抱き上げた。  薄桃色で隠されていた全身が、すっかり丸見え状態になってしまった。
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