第1章 SSRって、何?

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 生まれたて状態でリビングのソファまで、香澄は涼に連れて行かれた。 (あの時のハムスターも、こんな気持ちで隠れたくなったのかな……)  人間パニックになった時、急に突拍子もない記憶を思い出すもので。  何故かこの時の香澄の脳内には、小学校の時、クラスで飼っていたハムスターを逃したエピソードが再生されていた。  あの時は確か、香澄がハムスターのもふもふ感を堪能したくて、ひょいとハムスターの体を掴んだのだ。  ケージからハムスターを出した瞬間、私の手を引っ掻いたハムスターは、咄嗟にどこかに逃げてしまった。  あの日は、クラスメイト達からものすごく怒られながら、どうにかすみっこの陰で丸まっているハムスターを捕まえることはできたのだけど……。  今の私は、まるであの時のハムスター。  すっぽんぽんで光の中に晒されて、恥ずかしくなって逃げたくなった。  そんな風に解釈したくなるくらい、自分の今の状態と被った。   「あの、涼先生、私…………」  服を着たいです、と香澄が言おうとした時だった。  涼が「はい」とバスローブを渡してきた。 「これ……は?」 「ん?これから香澄にシてあげたいことのために必要なものだよ」  涼はパリコレモデルも跪きたくなるような、綺麗な微笑みを浮かべながら、言った。 
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