第1章 SSRって、何?

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「涼先生?このバスローブですが……」 「色、気に入らなかった?」  色は、搾りたてのミルクのような色をしていた。 「いえ!色はとても綺麗なのですが……」  香澄は、まだ生まれたてすっぽんぽん姿であるにも関わらず、袖を通すことを躊躇った。 「もしかして、シルクですか?」  ツヤツヤに光り、肌触りの良い生地は、普段香澄が身につけている服とは全く違うものだった。  触れるだけで、肌に吸い付く感覚が、涼の手のひらの皮膚と似ている気がした。 「そうだよ」  シルクのバスローブ。  香澄があのスイートルームの一夜についてWEB小説を書いた時、涼をモデルにしたキャラクター、リュウに着せるべき衣装を探す時にネットで調べたことがあった。  金額の桁が、香澄が着ている人工化繊の服とは違うという知識は、よく覚えていた。   「こ、こんなの着られないです!」  香澄は涼にバスローブを返し、普段着慣れているジャージを探すために洗面所に戻ろうとした。  乾燥機付き洗濯機の中に、ちょうど洗ったばかりの香澄の服があることを思い出したから。  ちなみに、この洗濯機は香澄が知らない間に買い替えられていた。  犯人は、いわずもがな。 「どうして?」  歩き出そうとした香澄の細い手首を掴んだ涼は、そのまま自分の腕の中に香澄を閉じ込めた。  むき出しの胸に、涼の肌がしっかりくっついている。 「私が着るべきじゃないからです」 「誰がそんなこと決めるの?」  そう言いながら、香澄をソファに無理やり座らせた涼は、香澄が次に何かを言う前に、ささっと器用にバスローブを羽織らせてしまった。 「うん。よく似合ってるよ」 「そ、そういうことではなくて……んんっ!」  香澄が涼に言葉を言う前に、涼は口を塞いだ。  香澄の力が抜けるように、涼は香澄の口内に快感を与え続けた。  香澄が涼のキスに夢中になり始めたのを、香澄の舌の動きで確認した涼は、あれよあれよという間に、香澄の腕にバスローブを通すことに成功した。  その事に香澄が気づいたのは、涼の唇がようやく離れた数分後のこと。 「い、いつの間に……」 「僕が君に着せたくて買ったんだから、僕のために着て欲しいな」 「…………でも」 「でもは、聞かないから。僕の楽しみを奪う権利は、君にはないよ」 「涼先生の楽しみ?めちゃくちゃ高いバスローブを着せる事がですか?」 「そんなのは、フルコースのオードブルレベルだよ。本番は、これからだから」 「本番?」 「そ」  そう言うと、涼はまた別の紙袋を取り出した。
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