第1章 SSRって、何?

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「どうしたの?」  涼はもう1度ボトルからクリームを出し、もう1度手のひらで温めてから、香澄の足に触れた。  ただし、今度は全く別の場所。 「ふ、ふくらはぎ……」 「ここも、ずいぶんむくんでるみたいだね」  そう言いながら、涼は足首から香澄の膝裏にかけて、指圧していく。 「どう?痛くない?」 「あ、痛くは……ないです……」 「じゃあ、気持ちいい?」 「それは……」  香澄は、さっき触れられた場所が場所だっただけに、昼間には口にできない……文章には書けるけれど……な、ちょっぴりいやらしい展開を想像してしまった。  でも、涼がしてくれているのは、本当に香澄の体をリラックスさせるためのマッサージだ。  涼がいい感じに圧をかけてくれるおかげで、香澄のこわばった体が少しずつ柔らかくなっていく。  涼の完全なる白い善意を、自分のいやらしい妄想で汚してしまったのが、香澄は申し訳なかった。 「き、気持ちいいですよ」  私は、赤ちゃんの胎教には明らかに悪い考えを打ち消しながら答えた。  すると涼は、こうささやいてきた。 「嘘」 「え」 「分かってるよ。君が今、何を考えたかは」 「ど、どういう……」  香澄が口を開いた瞬間、ふくらはぎにあったはずの涼の手が、再び足のつけねに触れた。 「ひゃっ!」 「分かってるんだよ、香澄。だって、僕がそうなるように作ったんだからね」 「つ、作る……?」 「そ。でもね、僕は別に君にただリラックスしてもらいたいだけなんだ。だから……我慢、がんばろうね」  そういうと、涼は今度は太もものマッサージを始めた。 (がんばるって、何を?)
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