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まず、涼は香澄に見せられている画面を1つ1つ解読することから始めた。
(このセリフは、画面に出てるスカした奴のセリフであっているんだろうか?)
自分が調べた、立花潤、カミーユ、桜井健一、真田邦彦のどの容姿とも該当しないとはいえ、香澄が会話のネタとして使う男というだけで、涼は嫉妬心がむくむくと湧き上がっていた。
ただ微笑んでいるだけなはずのイラストの男が、自分を馬鹿にしているような気がして、涼は妙にムカムカした。
とはいえ
「先生……?」
と、うるうるお目目で自分を見上げてくる、可愛すぎる香澄をこれ以上怖がらせるのは、決して涼の本意ではない。
涼は、弁護士モード……いついかなる時も冷静沈着にモードを引っ張り出して、再度推理をすることに決めた。
このA、B、Cの後の言葉は口語だから、セリフと考えていい。
さらに、このイラストは、これらのセリフのどれも言いそうな雰囲気がある。
ゲームのプレイヤーが自分だと仮定するならば、この選択肢を選ぶということは、このキャラクターのセリフを選ぶということ……。
ここまで組み立てたことで、ようやく涼は香澄が言った「選択肢」の意味に気づいた。
自分が、香澄に言ってほしいセリフを3つ決めて、どれか1つ香澄に選ばせればいいのだ、ということに。
それに気づいた瞬間、今までこっそりと妄想していたありとあらゆる香澄を思い出してしまい、涼のポーカーフェイスがガッタガタに崩れそうになった。
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