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「あはは!あはあはあはははははh」
「ちょっと先輩!笑わないでくださいよ!!」
「ねえ、これが笑わずにいられる!?ねえ、ねえ……くくくく」
堪えることすら諦めた拓人の笑いが、盛大にリビングに響いた。
拓人が指差して笑っているのは、もちろん香澄の方ではない。
「だ、だから嫌だったんですよ……このTシャツを涼先生に渡すの……絶対申し訳ない……」
「むしろ僕は光栄だね。君とペアルックできるなんて」
「ぺあ……るっ……」
香澄は、自分で言いながら、その言葉の威力に押しつぶされそうになった。
そして拓人は、さらに笑いを増長させた。
「やだ……念願の香澄とのペアルックが……そ、それ……くくくく……あははははは」
拓人が指差したのは、涼が着ているにゃんこ姫Tシャツ。ちなみに下はさっきまでのタオル1枚ではなく、一応ジーンズは履いている。
「涼先生、やっぱり返してください。だめです」
「嫌だよ。僕の夢を奪うの?」
「夢?」
「香澄と同じ服を着ること」
「そ、そんなのこんなので叶えないでください!」
「でも、君はずっと拒否し続けただろ?」
「それは……ですね……」
確かに香澄は何度か「同じ服を着たい」と某通販サイトでペアルックのパジャマやら洋服やらを涼から見せられたが、出された服の桁がおかしすぎたので丁重にお断りし続けたのであった。
「と、とにかく先輩もああやって死にそうなので、服脱いでください」
「脱ぐのは、君と2人きりの時の特権だよ」
「何よさっきまでほぼ全裸でいたくせに」
「たっくんは丸坊主全世界さらしの刑で」
「くっ……」
そんなこんなで、拓人と涼が睨み合っていた中で、急に
「あっ!」
と拓人が何かを思い出したかのように手を叩いたのは、それから5分くらいたってから。
「香澄!聞いたわよ!あいつらから!あんた何無茶してんのよ!」
「あ、あいつら……?』
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