第1章 SSRって、何?

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 拓人は、女性向けの商品でヒットを出し続けることができた人。  そんな人が、無意識に大声で叫んでしまったというのは、彼がデリカシーがないなんてことは、ない。  デリカシーのことなど頭からすっ飛んでしまうくらいの内容だった。ただ、それだけ。 「ご、ごめんなさい、香澄。でも……でもね……」  拓人は、自分が普段なら絶対しない失態に自分自身で戸惑いつつ、その理由を端的に説明した。 「いい香澄」 「はい」 「あれを、見なさい」 「あれ?」  拓人はちらと目配せして、香澄に涼を見るように仕向けた。  自分の、内に秘めた欲望を、1番知られたら恥ずかしい人に知られてしまったことから、香澄はなかなかそちらの方に顔を向けることができなかったが 「……残念ながら大丈夫よ」  残念ながらの部分を強調しながら、さらに拓人はこう言葉を続けた。 「私にとってはものすごく気持ち悪いけど、香澄にとっては……うーん……嫌だけど、嫌だけど、悪い展開にはならない……くうっ」  どういうことだろうと、香澄は勇気を振り絞って涼を見た。  そこには、手を口に当てて、ニヤついた笑みを隠そうとしつつも、そわそわと何かよからぬことを考えてそうな涼の姿があった。  ちなみにその右手は、超高速スピードでスマホを操作していた。
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