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「…………洋子さんと僕と香澄のベビーのためなら、ファーストクラスだろうがプライベートジェットだろうが予約してあげるよ。でも、たっくんは流石に嫌だな」
「何よその差別は」
「当然だろう。君が僕たちの旅行についてくる理由なんてないだろう」
「大アリよ!香澄の赤ちゃんは私の甥か姪よ!それに香澄は私の大事な、大事な大事な大事なパートナーよ」
「大事って3回も使わないでくれる?それに僕が香澄のパートナーだから」
そんな言い合いが、かれこれ数十分続いたところで、拓人のスマホに着信が入ったことで、ようやく止まった。
ちなみに、仕事に関する緊急の連絡だったとのことで、早急に拓人は仕事部屋でもある自宅に帰らなくてはいけなくなった。
「っ……良いわね香澄」
「は、はい!?」
「とにかく、私経由から受ける仕事以外は今後一切断りなさい!」
「でも」
「でもじゃない!あんたのところに来た仕事は、私が1回全部受け取った上で、あんたの体調考えて振り分けるから!お金も必要ならちゃんとあげるから」
「当然だよね、僕の香澄をこき使ってるんだから」
「あんたは黙ってて!!!とにかく香澄、今日は絶対仕事しちゃだめ!寝ろ!上司命令!」
上司命令と言われてしまえば何も言えない香澄だった。
そうして、嵐のように来た拓人が去った後、再び涼との2人きりの空間に取り残された香澄は、焦りだけが募った。
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