第1章 SSRって、何?

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「さっきもたくさんキスしたけど、それじゃあ僕の愛は伝わらなかったって、ことだよね」 「え?」 「つまり、僕は香澄が不安になる時間を与えないくらい、こうして」  涼は何度も啄むようなキスを香澄の唇にしながら 「香澄が不安を言いそうになる度に、愛すれば良いってことだよね」 「いっ、今は……んっ……そうだとしても……んんっ……!」  香澄が反論をしようとすると、涼がそうはさせまいとキスを繰り返す。 「そうだとしても、何?」  鼻に、頬にと呼吸を与える隙を与えるためだけにキスする場所を涼は変えている。  それはつまり、香澄に「苦しい」と言わせないまま、キスをし続けたい涼の工夫だった。 「男の人は……体型が変わったり自分の子供を産んだ女には興味をなくすって……本能があるってネットで」 「香澄はさ、僕の言葉よりもネットを信じるのかな?僕の本能は、香澄っていう存在にしか反応しないんだよ」 「どういう意味……んんっ……」 「こうして……舌を味わいたいのも、君が吐き出す息すらも自分のものにしたいのは、全部僕の本能だよ。どこの馬の骨が書いたようなくだらない記事より、僕の身体を、信じて欲しいよ」 「それは、今だけじゃないんですか?だって、お父さんとお母さんも……」  ああそうか、と涼は合点が言った。  ここまで言っても、なお香澄が不安になる理由。  それは、子供の時のあまりに辛すぎる別離の経験があり、かつ自分がその真実を暴いてしまったことにあった。  だとすると、その不安を解消することもまた、自分が果たすべき義務だと、涼は考えた。
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