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「待ってください!涼先生」
香澄は、涼の文字を打ち込む手を押さえた。
「香澄?」
「わ、私との時間を、大切にしてくれてるというのは分かりました!」
「……本当に?」
涼は、隠し事を1つ残らず暴いてやろう、と言いたげな視線を香澄に注いでいる。
「ほ、本当です」
「ふーん…………」
涼の声のトーンが、少し低くなった。
「じゃあさ、証明してくれない?」
「証明ですか?」
「君が、僕の愛を信じてるって君自身が教えてくれるなら……この文章、消してもいいよ」
そう言われて、香澄はどうすべきか躊躇った。
自分がどれだけ涼を好きか説明するのではないのだ。
一体どう証明すれば、涼は満足するというのか……。
そんな難問、いつもであれば拓人に聞くのが早かったのだが。
「ダメだよ。たっくんに聞くのはなし」
と、先に釘を刺されてしまった。
「じゃあ、どうすれば……」
「逆に聞きたいんだけどね、香澄。……君はいつになったら僕の気持ちを信じてくれるの?」
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