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「あのさーたっくん」
そう言うなり、涼は香澄を抱き寄せて、香澄がきちんと拓人の画面に映るようにした。
「ちょっ、涼先生!」
「どう?僕たちのペアルック」
「さっきも見せられたわよ!わざわざそんなものを見せるために、このクソ忙しい時にビデオ通話なんかよこしてきたの!?」
「それもあるけど」
「あるんか!!!」
「明日の香澄のスケジュール、丸々僕がもらうけど、文句ないよね」
涼がそう言うと、拓人の怒鳴り声がぴたりと止んだ。
「…………何、たくらんでるわけ?」
「ん?香澄のさっきの不安解消のためさ。たっくんだって…………困るだろう?」
困るだろう、の言い回しに何か含みがあることは香澄でも分かったが、その意図が分かるほど、香澄はまだ涼の深い部分は知らなかった。
しばらく無言が続いたが、拓人の低い声が漏れる程の嫌そうなため息が聞こえてから、嫌そうにこう言った。
「…………香澄とお腹の赤ちゃんに何かあったら、マジ殺す」
「僕に限って、そんなことをするわけないじゃないか」
「あんただから心配なんじゃない!」
そんなこんなで、拓人からの了承を得た香澄は、急遽次の日完全オフになったのであった……。
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