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一通り、涼から話を聞いた拓人は、あまりにも馬鹿馬鹿しすぎる内容だったので机に突っ伏したくなった。
「……私の、解釈違いであることを祈るけれど……あんた、香澄にゲーム1つもさせてあげない気?」
「ゲーム?」
「SSRはスーパースペシャルレアの略。一言で言うなら、チョおおおおおお大当たりってこと」
「何、その頭の悪そうな単語の羅列」
「はい〜敵決定〜。私と香澄と全ての仲間たちの敵としてあなたを認定します〜」
「どうしてそこで、僕と香澄が敵になるんだい?他はどうでもいいけど」
「……あんたの事務所では対応したことがないわけ?未成年のゲーム課金トラブル」
そこまで聞いて、涼はようやく繋がった。
確かに、自分の事務所では対応したことはないけれど、話題にはよく上がる。
親のスマホを使って、子供が50万円以上をアプリで勝手に使ってしまい、親がアプリの運営会社に取り消しを要求するケースが増えている。
いずれ自分の事務所でも対応することになるだろうとは思っていたので、他のメンバーにも「勉強はいておいてくれ」と言っていた。
(まさか、この件と香澄が繋がるなんて……)
「SSRはソシャゲのガチャの景品の呼び名。僅かな確率でしか手に入らない、極上の効果とイラストがご褒美なの。ソシャゲのファンとしては、運営様と神様に命を捧げ、ありとあらゆる隙間時間を犠牲にしてでも、この手で引き当てたいものだし、そのために月給分つぎ込んだ大人の事例もたくさんあるわね」
拓人が、細々と説明していると言う事実は分かったが、意味が何1つ理解できない、する気もない涼は、要件だけ確認したくて仕方がなかった。
(仕方がない……口が裂けてもこれは言いたくなかったが……)
「立花潤……カミーユ……」
「な、何……?」
「桜井健一……真田邦彦……」
涼がブツブツとつぶやく名前に、拓人は全部心当たりがあった。
それは今現在、拓人が知る限りの、香澄がソシャゲで攻略しようとしている二次元のキャラクターの名前だったのだ。
「タマ……ニャンコ姫……」
「ちょ!そこまで!?」
もはやその中に、人外のゆるキャラが入ってくることは予想外ではあったものの、ここまできてようやく拓人は、涼が言いたいことがどれだけくだらない内容なのかを察することができた。
「こいつら、香澄の一体何なわけ?」
「キャラクターに嫉妬してどうするのよ!!」
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