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エピローグ
神の住むというトニア山の麓に小さな村がありました。今はもうありません。ある日ふらりと現れた旅芸人とその弟子が隠された村長とその妻の罪を暴いてしまったからです。何と旅芸人は魔法使いでした。彼の魔法で真実を知った村人たちは村長とその妻を殺してしまいます。それから数年後、村で疫病が流行り村人たちも皆死にました。累々と横たわる死体と共に村は焼かれ、古くから伝わる大切な書物も何もかも燃えてしまったそうです。トニア山に入るための秘密の道、山の獣や植物に関する貴重な記録はこの時すっかり失われてしまいました。ですから残念ながらもう誰もトニア山の秘密の場所に入ることはできません。
その後、魔法使いとその弟子はどうなったのか? それは誰も知りません。でもきっといろいろな街や村を旅して回っているのではないでしょうか。誰にも言えない秘密を持ってる人は御用心。いつかあなたの前に現れて、鏡の欠片を片手にこう言うかもしれませんよ。
――ほぅれ、これは真実を映す鏡。どんなに昔のことでも、どんなに深く隠した秘密でも、全て映してしまう魔法の鏡じゃ。見てみるかい? きっと面白いものが見えるぞい。
了
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