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モト君の声はとろける柔らかさなのに、肩に回した手には圧を感じるの。
初めてのときもそうだった。
本能がストレートに伸びてきて、心臓ごとギュッとされてるみたい。
息を吐ききる前に、だから言ったの。
「……生理中なの」
視線は前方やや下向きのまま。プリウスのヘッドライトが私達をあざ笑い走ってく。
「……」
無言がしばらく続いて空気が沈下する。
オトコの落胆をどこで感じ取ってるんだろう。
モト君の息遣いにまで『始めから言えよ』って非難が混じってるな、とか。
「……ソレだけが目的で誘ってんじゃないよ。酔ってんのに帰すの心配だから。それにここで別れるの早くね? まだ美桜と話したいし」
本音を感受してるのはきっと私よりピュアな子宮なんだろうな。
「うん、わかってる、私も。今日は部屋入っても大丈夫なんだね」
「大丈夫じゃなきゃ誘わないよ」
頷いて、上を向くとキスされた。尖った舌を受け入れながら、左目隅にスカイツリーを映し込む。
今日は黄緑に点滅してるけど、カラーの意味はわからない。
前は雅と粋の二色だったのに、いつの間にか派手になったなあと思うくらい。
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