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リップ音響かせてる最中に色を変え、離れたときには黄緑に戻ってた。
さっきまでソラマチ巡りしてたサンダルが、強引な彼の靴に寄り添って進む。
歩いても歩いても逃げられない。
移ろう都会のパノラマの中央にどっしりと仁王立ちして、東京中のどのビルよりも高い位置から人間の行いを見下ろしてる。
「蒸し熱い。何か脱ぎたくなってきちゃった」
雨に晒された段ボールのブヨブヨ膨らんだ感じに似て気持ち悪い。
水溜りがはけないうちに、また水溜りが作られて足元まで湿っぽい。
生理中だからかな。
ずっとダルいのに妙に高揚して投げやりな気分。早く脱いで獣になりたい。
倫理ごと脱ぎ捨てたい。
ピンクのカットソーに指を掛けて脱ぐ素振りをする。
「うわ。ダメだよ。ヤバいな完全に」って口では咎めながら、腕巻きつけて嬉しそうに耳たぶを食む。
「美桜……家に着くまでは我慢しろよ……」
囁く声と酒臭い息が熱い。彼は私のこと食べたくて仕方ないみたい。
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