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十三話
目が覚めると夜明けが近いのか、空が明るくなっていていた。肩を貸してくれたシエルさんも寝ているのか、瞳を瞑っている。ドラゴンのクレはあのまま、私の膝の上で寝ていた。
「ふわぁっ。ルー、起きた? 今度は森の中に降りて朝食にしよう。ウルラ、リリアス森に降りてくれ」
「わかった」
福ちゃんの高度が下がり森の中。
開けた場所におりたった。
「ウルラ、ご苦労さま。休んでいいぞ」
「お疲れさま、今休むところを出すね」
シエルさんとラエルさんは島と同じ、コテージをお互いのアイテムボックスから取り出し置いた。福ちゃんは小さくなり、ラエルさんのコテージに入っていく。
「ご苦労さま、福ちゃん。ゆっくり休んでね」
「お嬢、おやすみ」
大欠伸をしてコテージの中に消えた、その後をガッド君、クレまでも続いていく。彼らはまだ寝るようだと、見ているとシエルさんが二人に。
「ガット、クレ、ウルラをよろしく」
「わかったっス」
「任せておけ」
私には分からないことを言って、コテージには入っていった。その後を見ていると、シエルさんが隣に立ち説明してくれた。
「ガットとクレが、力を消耗したウルラと寝るだけで、力の回復が早くなるんだ」
「え、そうなんですね」
「ああ、そこにルーが加われば、もっと早くなるだろうな……癒しの力か?」
――癒しの力?
「だからと言って、俺のルーを奴らと寝させねぇ……と言いたいが。まあ、目が覚めたら、三匹ともルーにくっ付くだろうがな、ククッ」
朝食にしようといい、シエルさんがキッチン道具を取り出した。まだ分からない……魔力なしと言われてきた私に魔力がある、それも癒しの力だなんて。
でも、みんなを癒せるのなら、その力を使うわ。
知らずに力が入り、拳を握っていたらしく。
子犬ちゃんが足をポンポン突っつく。
「こ、子犬ちゃん?」
「ルーチェちゃん、無理はしちゃダメだよ。自分のできる範囲がいい……頑張りすぎると疲れちゃうし、シエルが心配する」
シエルさんが心配する? 視線を子犬ちゃんからあげると、少し離れた位置でシエルさんが私を見ていた。
――私の大切な人。
「うん、わかった。自分のできる範囲で頑張るね」
「おお、それがいい。それで、朝食は何作るの?」
朝食かぁ――お腹も空いたから、がっつり食べたいかも。
「ハンバーガーなんてどう?」
「いいねぇ、食べたい!」
朝食はガッツリ、ハンバーガーを作ることになった。
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