無気力タルト

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「お腹すいてない?なんか作ろうか」 森先輩はソワソワと落ち着きが無かった。自分の部屋に異性がいるのが珍しいのかもしれない。 「料理作れるのすごい、手伝うよ」 「まぁ、料理っていう程のやつじゃないけど、いつも食べるやつ」 森先輩には弟がいるらしく、両親が仕事で遅くなる時は夕飯を作っているそうだ。 森先輩の指示に従って玉ねぎと人参とウインナーをみじん切りにした。 「くぅ、涙がでる」 「あはは、泣けてくるよね」 森先輩は玉ねぎと人参とウインナーのみじん切りを炒めたあと、炊飯器から炊きあがっていたご飯を加えた。 その後、ケチャップを取り出し、更に加える。 オムライスの中身である、チキンライスににているが、具がウインナーなのでこれはなんというのだろうかと考えていると、 「子供チャーハン」 と先輩は呟いた。 「子供チャーハン……素敵な名前!」 このケチャップライスもどきは子供チャーハンと言うのかと改めて納得した。先輩は意外に可愛いところがある。 「あ、そう言えばさ、手洗ったっけ」 「あ、忘れてた」 お互いに緊張していて、料理前に手を洗いわすれたのだ。 「今から洗うか」 「もう、遅いと思うけど洗おっか」 お互いに顔を見合わせて笑った。
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