無気力タルト

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入学してすぐに気づいた。皆、雰囲気が似ている。絵を描く人の特有のじめっとした空気感。静かで閉鎖的な心のゆとりのようなものを持っている人達の群。 私は焦って、自分の居場所を見つけようとした。けれど皆、もうすでに仲良くなっていて、アニメや漫画の話題で盛り上がっているようだった。 私はアニメは見ないし漫画は少女漫画しか読まなかった。 一人の生徒がノートを広げて皆に何か見せていた。私も輪の中に入り、見せてと大きな声でいった途端。ノートはかたく閉じられ、代わりにじっとこちらを異端者のように見る目が向けられた。怯えてるようで、心を持って侮蔑する瞳、出会って一秒で私は仲間はずれだった。 髪型がギャルすぎただろうか、ネクタイがゆるすぎただろうか、スカートが短すぎただろうか、鞄にぬいぐるみをつけすぎただろうか。 自分には訳がわからなかった。 私が思っている可愛いは私の世界では悪目立ちした。 お昼になってもそれが続いた。 同じ絵を描くコースの人達は皆、机をくっつけて食べてるのに対して、私のことは眼中に無いようだった。 「なに?何?仲間はずれ?ひどくない?」 最初に話しかけてくれたのは、私が思う可愛い格好をしたギャル達だった。 芸術コースで音楽を選考している子達だ。 「一緒にたべる?」 そう言うと席を近づけてきてくれた。 私はその子達と一緒にご飯をたべることにした。
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