無気力タルト

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「そっかぁ、そういうことがあったんだ」 瑞穂が茶碗を片しながらいった。 「なら今日も一緒にかえるの?」 葵が興味深々に聞いてきた。 「どうなんだろ、わからないや」 正直、先輩と一緒に帰っても先輩のことはあまり良くわからなかった。私はこの時から知能が低く、会話という会話が苦手だった。小学校と中学校の時に会話を殆どしていなかったせいでもある。 でも先輩は辛抱強く、纏まりにかける私の話を聞いてくれたように思う。私は、家族のことから、かっている犬の話、何故か高校で馴染めない話、思ったことを思ったとおりに口に出すという行為しかできなかった。会話ではなく、日々の感想を先輩に報告していた。 映画を観た報告をすれば、結末までしっかり話してしまうので 「結末まで話さないでよ、俺まだ見てないのに」 と言われ、 舐めていたアメのパッケージの謳い文句で、(ミルキーはママの味)というものがあり、 「ぺこちゃんはママを食べたのかな?」 と冗談を口にしたら 「そういう冗談は中学生までにしときなさい」 と苦笑いされた。 私があまりに幼くて、1歳しか違わないのに、5歳も6歳も先輩が歳上に見えた。 先輩は中学生の時からバンドをやっていて、その時に知り合った彼女と別れたばかりだと人伝に聞いた。傷ついているのかはわからなかったけれども、この人の何かにはなれたらいいなと思った。
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