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学校帰りのデートに何をするか、それは人によると思う、けれど、私達はもっぱらTSUTAYAでCD選びに凝っていた。
これは森先輩がバンドでドラムを叩くこととも関係している。
森先輩の沢山の音楽を知りたいという欲望が毎日TSUTAYAのCDコーナに足を運ばせたのだ。無限に広がる音楽の世界の一端をつかみたかったのかもしれない。
私は音楽はあまりきかなかったけど、森先輩がセレクトしてくれたお陰できくようになった。
中でもアジアンカンフージェネレーションや相対性理論、マキシマムザホルモン、クラムボンなどが好きだった。
当然だけど、どの音楽も個性的で沈んだ時に聞けば、明るい気持ちになれたし、何より、言葉をあまり持たない私にとって、先輩との会話が音楽を通して広がることが嬉しかった。
「これ、どう思う?」
「わからないけど、ペカペカしてる、あ、なんか途中で雰囲気変わった」
「でしょ、面白いよね」
先輩は私に色んな世界の入口を教えてくれた。音楽もそうだし、絵もそうだっだ。
「俺さ、お絵描き塾に通ってるんだよね、ずっと」
「そうなんだ、すごいね、私は独学だよ」
「今度、見学してみる?」
「うん、する」
先輩といると何をするにも積極的になれたし、勇気をもらえた。学校であまり馴染めなくても、先輩がいればさみしくなかった。
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