第一章 三話 Death Side Pool

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 「やばいってお前・・・早く行かないと真希も先生も現場行っちゃうって。しかも先生戦い無理だから実質真希だけなんだけど・・・」 凌矢は、愛海花の服を一生懸命引っ張った。しかし彼女は大量に重なった衣服を見るのに全力を注いでおり、彼の言葉には見向きもしなかった。 「待って!パーカーだけでも選ばせて!carharttかdickiesか・・・いや、levi`sでもいいな・・・」 彼女は、うーん、と言いながら顎に手を当てると、どっちがいいかな、と言って彼の方を向き、彼の上半身にパーカーを合わせた。 「だから!もう行かないとやばいから行くぞって言ってるだろ!そんなの置いて早く行くぞ!」 彼は強い口調で言ったが、彼女はニヤニヤ笑って、 「もう!怒りすぎ!そんなにせっかちだとモテないよー。」 と言った。彼が彼女を見つめる目が氷のように変わりかけたとき、彼女が、まあまあまあ!、と叫び、 「じゃあ、買ってきて!そしたら行ってあげる!あれ吸わないと、殺しなんてやってらんないからさー。」 彼はその目が成り代わる寸前で戻し、彼女に大きな舌打ちをして、走って近くのコンビニに走っていった。 「さっきシシにパーカー合わせたけど、絶対似合うのはdickiesだよなあ・・・私はcarharttのほうが好きなんだけど・・・」 そう言ってから、続けて、 「じゃあ、行きますか・・・」 と言って彼女は早急に会計を済ませ、店を出た。 白いパッケージに葉っぱのマーク、それに金文字で「pianissimo」と書かれた箱を取り出し、その中の白い棒を咥えた。その箱を元の場所にしまって空いた手を衣服の様々なポケットに突っ込んだ。しばらく探して、あーもう!、叫んで、そのまま歩き出した。 「あれ?」 愛海花が歩いてしばらく経った時、彼女は唐突にその場に留まった。 彼女は言った。 「場所、知らないや・・・」
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