DeathsidePool

第一章 一話 Gather Here.

　とある地方の、とある場所。そこには、一般的に見てごく普通の公立高校があった。見た目はボロく、設備は古い。まさに「公立高校」である。
この学校には、真面目で勉学に長けた生徒から、相当やんちゃな、四六時中どこかしらから血を流す女子生徒、更には、歌、踊り、ビジュアル、スタイルと、どの方向から見ても完璧なその界隈では有名な名高いアイドルまでが在籍していた。
　朝、この学校に生徒たちが続々と登校してくる中、とりわけ輝きを放つ女子高生がいた。彼女は道の脇を歩いていたのにも関わらず、周りに生徒だけでなく近所に住んでいるであろう若い男性から中高年の男性までが集まってきていて、それは公道の真ん中の方まで膨れ上がっていた。しかし彼女は、何ら嫌な表情をせず、話しかけてくる人々全員に「ありがと〜。これからも応援よろしく〜」と笑顔で言って、その場を通り過ぎていった。
彼女は校内でも大人気の存在だった。同性からの遊びの誘いは止まず、また異性からの告白も数え切れないほど受けた。彼女は「事務所、恋愛禁止だから〜。」と言って切り抜けたが、流石に学年一二を争うイケメンからの交際の誘いには奥歯を噛み締めながらそのセリフを放ったことは彼女のトップシークレットである。
彼女は、界隈では知名度のあるアイドルグループ『KOKOA』に所属し、人気ランキングでも上位常連のメンバーとして活動していた。彼女のスタッフたちは、学校では静かに過ごせ、だの、自分の仕事は周りに言うな、だの、彼女に様々な指示を出したが、何しろ彼女は活発で、人とコミュニケーションを取ることを好み、腹を立てるとしっかりとした喧嘩をおっ始めてしまう事から、教師間では、「守らなくてはならない問題児」として、独特な地位を確立していた。