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「今日シシは来ないんすかね?アミカが来れないのは聞いたんすけど・・・」
杏奈が口呼吸を思い出してきたのを察した真希が言った。
「私も・・・聞いてないわよ・・・」
彼女はとぎれとぎれに言った。
「一旦電話してみますね。」
と言って席を外した真希は、ほんの数十秒で戻って来た。
「出る気配なかったですね。二人共。」
真希の表情からは若干の焦りが感じ取れる。彼女は、今日会議せずいつできるんだよ、と吐き捨てて携帯電話を弄った。
結局そのまま二人が来ることはなく、連絡もつかなかった。流石に真希は焦りよりも怒りが勝ち始めて、杏奈も少し恐怖の念を感じ取った。
「ん?」
真希の声の直後、微かに音楽が聞こえる。学校からだ。
「やべ。予鈴なってんじゃん。」
と言って立ち上がった真希は、取り敢えず本拠地で!、と杏奈に吐き捨てて、先程まであれだけ門番を担っているように見えた扉を軽々持ち上げて、学校に戻ってしまった。
「あ、待って!」
杏奈は叫んだ。その声が届かず、扉が完全に締め切ったとき、彼女は察した。
「私、開けられないんだけど・・・」
結局、彼女はそのまま時間を浪費し、教師人生で初めて授業に出席できないという黒歴史を作ってしまったのだった。
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