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その対価というように、会えば身体を求められるようになったが、そんなものは、なんてことない。――だって、コイツの中でいくら出そうが、絶対に間違いなんて起きないのだから。
今後も俺の性欲処理道具として、都合良く使わせてもらうまでだ。
やがて、カーテン越しに窓の外が白み始めると、俺はいつも花純のために、アフォガートを作る。
薄く黄色がかったバニラアイスを見ていると、何故か花純の柔肌が思い浮かぶ。
何も知らない、哀れな女。蝶よ花よと大切に育てられた、純真無垢なお嬢様。
そんな花純に底なし沼のような、深い茶色のエスプレッソを垂らし込むと、それは徐々に色を変えて染まっていく。
始めは上辺から、ゆっくりと広がるだけ。だが、エスプレッソを全てかけ終える頃には、花純はグラスの中で溺れ染まるのだ。
――可哀想な花純……。
俺はグラスの中の花純と目を合わせ、うっそりと微笑む。
「もっともっと……染まるまで愛してあげるからな、花純……」
この歪んだ愛の果てに、何が待っているのか。俺はまだ知る由もない――。
―おわり―
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