アフォガート

アフォガート、あります

　そうこう考えている間に、もう出来上がってしまったようだ。

「お待たせいたしました。アフォガートです」

「ありがとうございます……って、え？　これは？」

　アフォガートのグラスの隣には、何故か四角く綺麗に切られた、サンドイッチが乗った小皿が。

　私、注文してないよ？　――そう言うと、井上(いのうえ)くんは少しだけ呆れたような、しかし穏やかな笑みを浮かべて答えた。

「サービスです。――その様子で、しかもこんな時間帯に来るってことは、お昼まだなんだろ？」

　――……流石。ちゃんと見てるんだ……。

「ありがとう」

　私は感心して素直にお礼を言うと、いただきますの言葉と共に、具材たっぷりのサンドイッチを頬張った。