第三章

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真壁くんからだった。 「はい、静香です」 「ごめん、本当にごめん、昨日は寝坊した、それから前の日は、完璧に寝落ちした、ごめんな、怒ってるよな」 「そんな事ありません、そうだろうなって思ってましたから、大丈夫です」 「よかった、な、静香、有給取ってアメリカ来いよ、俺はしばらく日本には帰れないから、このままだと、俺寝坊ばかりで、やばいよ」 「でも……」 「静香と一日でも話せないとおかしくなりそうだよ」 「そんな大袈裟ですよ」 「じゃあ、静香は寂しくないのか」 私の本音は寂しい、今すぐにでも真壁くんの元に飛んでいきたい気持ちでいっぱいだ。 本当に信じて着いて行っていいの?と聞きたかった。 でもその言葉を慌てて飲み込んだ。 忌まわしい記憶が蘇ってくる事に恐怖を覚えた。 三年前、私は経理部に配置替えになり、その年、新入社員も何人か経理部に配属になった。
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