第三章

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経理部は私が新入社員の頃、初めて配属になったところで、本郷部長が、是非経理部に戻って欲しいと強い要望を出してくれた結果で、経理部に戻って来れたのだ。 「倉田、おかえり、待ってたぞ」 「本郷部長、またお世話になります」 「それはこっちの台詞だ、頼んだぞ」 「はい」 次の日、新入社員の研修が終わり、新入社員は経理部のメンバーに紹介された。 その中の一人、安藤剛が私にアプローチをかけて来た。 「先輩、可愛いですね、今度食事に行きましょう」 私は軽いノリの安藤くんを警戒していた。 そんな中、もう一人の新入社員井口裕太郎がいつも、私を庇ってくれた。 安藤くんとは真逆の誠実そうな立ち振る舞いに、ちょっと心が動いた。 わからない事は聞いてきて覚えも早い。 先輩からすると、素直な好感の持てるタイプだった。 恋愛対象ではなかったが、弟のように可愛らしいと思ったのは事実である。 そんなある日、井口くんが食事に誘ってくれた。
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