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「全然迷惑なんて事ないよ」
やっぱり無理、怖くて真壁くんの胸に飛び込むことなんて出来ない。
《本気にしたの?》
この言葉が頭の中を駆け巡る。
アメリカまで行ってこの言葉を言われたら立ち直れない。
期待しちゃいけない、私は自分に言い聞かせた。
「そろそろ仕事に行く時間ですよね」
「静香と喋ってると、あっと言う間に時間が過ぎちゃうな」
「本当に」
「じゃあ、行ってくるな、静香はおやすみだな」
「はい、行ってらっしゃい」
「わあっ、いいな、毎日言ってほしいな」
「それじゃ、電話切る時言いますね」
「そうじゃないよ、俺、静香にプロポーズしてるんだけど……」
「えっ?」
「じゃあ、行ってくるな、考えといてな、プロポーズの返事」
スマホは切れた。
真壁くんは次から次へと嬉しい言葉を言ってくれる。
私は本気にしちゃダメと自分に言い聞かせても、期待しちゃう自分が顔を出す。
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