第四章

2/8
前へ
/119ページ
次へ
真壁くんの住んでいるマンションは電話で教えて貰っていた。 急に押しかけたら大変なことになるとは、この時は夢にも思わなかった。 ただ、真壁くんに会いたい一心で他の事は考えられなかった。 アメリカに着くと、まず真壁くんのマンションに向かった。 いきなりインターホン押したらびっくりするかな。 この時まさか奈落の底に落とされる思いをするなんて、私は浅はかだった。 エレベーターから降りてくる一人の男性を目視した。 真壁くん! 思わず駆け寄ろうとすると、後から可愛らしい日本人女性が真壁くんの後を追いかけて、腕に絡ませた。 私は姿を隠した。 すごく楽しそうな笑顔を見せていた。 真壁くんはと言うと、照れくさいみたいに女性の腕を振り解こうとしていた。 なんだ、彼女がちゃんといるんだ。 そうだよね、誰が好き好んで年上のアラフォーを相手にしないよね。 私は急いでその場を離れた。 落ち着け、落ち着け、私。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

334人が本棚に入れています
本棚に追加