第一章 

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挨拶で舌を入れてくるなんて、聞いたことがない。 もう、どうしよう。 恋人でもない男性に、ファーストキスを奪われて、しかも舌まで入れられて、 それより問題なのは、その相手が真壁不動産次期社長だ。 そして私はその男性を突き飛ばしてしまった。 キスした女性に突き飛ばされて、プライドボロボロだろう。 明日謝らないと、私はこの日、眠れない夜を過ごした。 俺は真壁翔、真壁不動産に就職し、新入社員として経理部に配属になった。 実は俺の親父は真壁不動産社長である。 親の七光りだって? だから、親父の会社に就職したくなかったんだ。 でも、一つだけいいことがあった。 倉田静香、経理部の先輩だ。 新入社員歓迎会の席で、女性社員の中では一番年上だろうに、気遣いが半端なかった。 一番動いていたと言っても過言ではない。 俺は、笑顔に心惹かれた。 好きになると一途にアタックする。
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