第一章 

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俺はとにかく経理部に行き、静香先輩の出社を待った。 既に始業の時間は過ぎたのに、静香先輩は出社してこなかった。 完全に避けられたと自分の大失態を反省した。 それから三日間、静香先輩は会社を休んだ。 そして四日目、やっと静香先輩が出社して来た。 「ご迷惑をおかけしてすみませんでした」 「もう体調は大丈夫か」 部長が私を気遣ってくれた。 後輩の恵美ちゃんもすぐに駆け寄って「静香先輩、大丈夫ですか」 と心配してくれた。 「もう、大丈夫よ、ちょっと体調崩しただけだから」 そこに真壁くんが近づいてきた。 私はすぐに経理部の部屋を出て、廊下に移動した。 真壁くんは私の腕を掴んで「ちょっと話がある」そう言って私を会議室に連れて行った。 会議室に二人きりになり、ドキドキが半端ない。 いきなり、真壁くんは「ごめん、静香の気持ち考えないで、俺ばかり突っ走って、反省している」そう言って頭を下げた。
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