第ニ章 

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「わかってるよ、ただ、お前は将来、この会社を継いで社長になるんだろう、その時は決まった婚約者がいるんじゃないか、もし、また倉田に同じような思いをさせるなら、これ以上構わないでやってくれないか」 そんな過去が静香にあったなんて、全く知らなかった。 終業時間になり、俺は静香を食事に誘った。 「静香、駐車場に車を停めてあるから、帰る支度出来たら、駐車場に来て」 「ごめんなさい、ちょっと気分が悪いので、今日は帰ります」 「静香!」 静香と呼び止めた俺の声は届かなかった。 私は振り向きもせず、会社を後にした。 あの忌まわしい過去から、未だに前へ進めない。 全ての男性が、私を騙そうとしていると思ってしまう。 しかも、真壁くんは私より十五歳も年下で、この会社の御曹司。 ゆくゆくはこの会社を継いで、社長になる人だ。 そんな人が、私みたいな冴えないアラフォーを好きになるわけがない。 遊びか賭けか、どっちにしても坊ちゃんの道楽だろう。
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