0人が本棚に入れています
本棚に追加
高校生活最後の告白はーー
ーー失敗に終わった。
「ごめんなさい。私、あなたのことはあまり好きではありません」
ド直球ストレートを受け取り、見事惨敗。
敗北を我が物とし、高校生活は幕を閉じる。
「あーあ、泣こ」
屋上で一人、俺はしんみりとした思いを味わっていた。
ーーってか、俺何でフラれたんだろう?
あいつとは中学からの付き合いでそこそこに仲が良く、何度かグループで一緒に遊びに行ったこともあるし、フラれる要素なくね。
「じゃあ何で……」
俺は気付いてしまった。
まさかあいつは、俺の為に……
病弱設定も、付き合うと死ぬとかいう設定もないけど、俺と付き合ったら俺に不幸が訪れる理由があるんだろ。
「なるほど。それならそうと言ってくれればいいのに。はあ、落ち込んで損した」
そうとなったら行動はひとつ。
今すぐあいつのもとに会いに行こう。
「だってあなた、呪われてるもん」
「ーーえ!?」
本当に呪われてるんかい……
ちょ、ちょっと待て。
お、俺が呪われてる?
いやいやおかしい。
確かに最近怖い夢を見たり、鏡が急に割れたり、足の指がねじれたりすることがあるけど……
……って、あれ?
鏡って急に割れる物だっけ?足の指って自然にねじれるものだっけ?
「ははっ、あははははは」
もう笑うしかないだろ。
「あなたが呪われてるから、私はあなたとは付き合えないかな」
ん?待てよ。
「呪われてなかったら俺と付き合ってくれるのか」
「いやー、それは……」
「マジかよ。なら一緒にこの呪いを解いてくれ」
俺は安堵し、この上ない幸福感に満たされる。
ようやく恋人ができます。
ああ、父さん、母さん、俺、幸せになります。
「ちょっと、勝手に話を進めなーー」
「よーし。こうとなったら本気で行くぜ」
「ちょ、あなたは勝手に決めつけすぎです」
「で、どうやって呪いを解くんだ」
「まるで無視!?」
「じゃあ、呪いを解きに行くか」
ーー本当に、あなたは勝手ですね。
ーーこうなることは分かっていましたよ。
ーー本当にあなたは、
「自分勝手ですね」
最初のコメントを投稿しよう!