だってあなた、呪われてるもん

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 高校生活最後の告白はーー  ーー失敗に終わった。 「ごめんなさい。私、あなたのことはあまり好きではありません」  ド直球ストレートを受け取り、見事惨敗。  敗北を我が物とし、高校生活は幕を閉じる。 「あーあ、泣こ」  屋上で一人、俺はしんみりとした思いを味わっていた。  ーーってか、俺何でフラれたんだろう?  あいつとは中学からの付き合いでそこそこに仲が良く、何度かグループで一緒に遊びに行ったこともあるし、フラれる要素なくね。 「じゃあ何で……」  俺は気付いてしまった。  まさかあいつは、俺の為に……  病弱設定も、付き合うと死ぬとかいう設定もないけど、俺と付き合ったら俺に不幸が訪れる理由があるんだろ。 「なるほど。それならそうと言ってくれればいいのに。はあ、落ち込んで損した」  そうとなったら行動はひとつ。  今すぐあいつのもとに会いに行こう。 「だってあなた、呪われてるもん」 「ーーえ!?」  本当に呪われてるんかい……  ちょ、ちょっと待て。  お、俺が呪われてる?  いやいやおかしい。  確かに最近怖い夢を見たり、鏡が急に割れたり、足の指がねじれたりすることがあるけど……  ……って、あれ?  鏡って急に割れる物だっけ?足の指って自然にねじれるものだっけ? 「ははっ、あははははは」  もう笑うしかないだろ。 「あなたが呪われてるから、私はあなたとは付き合えないかな」  ん?待てよ。 「呪われてなかったら俺と付き合ってくれるのか」 「いやー、それは……」 「マジかよ。なら一緒にこの呪いを解いてくれ」  俺は安堵し、この上ない幸福感に満たされる。  ようやく恋人ができます。  ああ、父さん、母さん、俺、幸せになります。 「ちょっと、勝手に話を進めなーー」 「よーし。こうとなったら本気で行くぜ」 「ちょ、あなたは勝手に決めつけすぎです」 「で、どうやって呪いを解くんだ」 「まるで無視!?」 「じゃあ、呪いを解きに行くか」  ーー本当に、あなたは勝手ですね。  ーーこうなることは分かっていましたよ。  ーー本当にあなたは、 「自分勝手ですね」
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