不幸の人

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不幸の人

 今日も彼はやって来た。ここに来る時、彼はいつも酔っ払っている。昼も、夜も、区別無く飲んでいるらしい。飲んで、食べて、疲れて眠る。果たして彼に、僅かでも酒の入っていない時があるのだろうか。  いつものように、彼は私の出した安い焼酎のお茶割りを、味の濃いつまみで誤魔化して、繰り返し、繰り返し、その喉に流し込む。そして、相も変わらず、くだらない冗談を言っては、私や他のお客さんを笑わせるのだ。彼が居ると、和やかな空気が、そこに流れた。  彼も皆と一緒に、とぼけて、笑っている。───笑っている。どう見ても、笑っている。なのに、何故だろう。私は彼のその笑顔を見ているのが、殊のほか哀しいのである。
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