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新たな謎、藤堂美波。
何者で、遺体はどこに消えたか?
もしくは、生きているのか?
調べていた昴が報告を始める。
「藤堂美波は、戸籍が存在しません。さらに、気になることがありました。これです」
モニターに映る手紙。
「これって…藤堂美波と同じ筆跡」
「はい。念の為照合しましたが、やはり一致しました。これは、JAPAN-TV の報道部に届いたもので、内容を読んで、中央署に届け出たものです」
『遺書
JAPAN-TV 柴咲希美様
幸明中学校1年 進藤 由香』
と書かれていた。
「遺書の中身を映してみて」
「はい」
遺書
報道の及ぼす影響が大きい事を知っています。
誠実で人気のある報道キャスター、柴咲さんしか思い浮かばず、送らせてもらいました。
私は今から、皆んなのために死にます。
この学校からイジメがなくなることを願って。
そしてイジメたヤツらに、自分達の行いがいかに愚かで、後悔しても遅いことを思い知らせてやる。
私はここに来てから、ずっとイジメられて来ました。でも、それももう終わります。
アイツらは飽きて、次の子を狙ってるから。
先生も信用できず、何の力にもならない。
親も学校も表には出さず、隠すだけのバカ。
私の死は、ただのマスコミのネタにされ、この学校や見て見ぬ振りの他の生徒まで、世の中から拒絶され、批判されればいい。
このままじゃ、また不幸な生徒が増えます。
変わるかは分からないけど、私にはこうするしか、真実を伝え、抵抗することができない。
私をイジメたアイツらを恨みます。
だから、名前は書きません。
いつか絶対に殺してやるから。
学校も許せない。
特に担任のアイツ。
柴咲さん、迷惑かけてごめんなさい。
でもどうか、力を貸してください。
真実を伝えてください。
わがままですみません。
さよなら。 進藤由香
「いったいどういうことよ⁉️」
「中央署の報告では、幸明中学校には、進藤由香と言う学生はおらず、イジメや自殺騒動も何も無かった様です」
「いたずら…にしてはリアルね。しかし、これを書いたのは、魁中学校の藤堂美波で、多分…死んでいるはず」
「桐谷、考えてもわかるものではない。富士本部長、写真はあるんだから、行方不明で藤堂美波の公開捜索をかけてみるのは?」
「そうだな、彼女が存在していたのは事実。まずは、事実を追いかけてみるか。昴、写真を都内全署に送り、公開捜索を」
「分かりました。因みに、進藤由香の戸籍登録は全国に3人いましたが、全員40歳以上で都内ではありません」
「他の生徒を守り、イジメをなくす思いは同じ。でも…その為に考えているものは、全然違う…まるで美波が善で由香が悪」
文面から感じる善意と悪意。
紗夜の心には、書いている2人の姿がいた。
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