【3】草吹甲斐

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新たな謎、藤堂美波。 何者で、遺体はどこに消えたか? もしくは、生きているのか? 調べていた昴が報告を始める。 「藤堂美波は、戸籍が存在しません。さらに、気になることがありました。これです」 モニターに映る手紙。 「これって…藤堂美波と同じ筆跡」 「はい。念の為照合しましたが、やはり一致しました。これは、JAPAN-TV の報道部に届いたもので、内容を読んで、中央署に届け出たものです」 『遺書  JAPAN-TV 柴咲希美様  幸明中学校1年 進藤 由香』 と書かれていた。 「遺書の中身を映してみて」 「はい」 遺書 報道の及ぼす影響が大きい事を知っています。 誠実で人気のある報道キャスター、柴咲さんしか思い浮かばず、送らせてもらいました。 私は今から、皆んなのために死にます。 この学校からイジメがなくなることを願って。 そしてイジメたヤツらに、自分達の行いがいかに愚かで、後悔しても遅いことを思い知らせてやる。 私はここに来てから、ずっとイジメられて来ました。でも、それももう終わります。 アイツらは飽きて、次の子を狙ってるから。 先生も信用できず、何の力にもならない。 親も学校も表には出さず、隠すだけのバカ。 私の死は、ただのマスコミのネタにされ、この学校や見て見ぬ振りの他の生徒まで、世の中から拒絶され、批判されればいい。 このままじゃ、また不幸な生徒が増えます。 変わるかは分からないけど、私にはこうするしか、真実を伝え、抵抗することができない。 私をイジメたアイツらを恨みます。 だから、名前は書きません。 いつか絶対に殺してやるから。 学校も許せない。 特に担任のアイツ。 柴咲さん、迷惑かけてごめんなさい。 でもどうか、力を貸してください。 真実を伝えてください。 わがままですみません。 さよなら。       進藤由香 「いったいどういうことよ⁉️」 「中央署の報告では、幸明中学校には、進藤由香と言う学生はおらず、イジメや自殺騒動も何も無かった様です」 「いたずら…にしてはリアルね。しかし、これを書いたのは、魁中学校の藤堂美波で、多分…死んでいるはず」 「桐谷、考えてもわかるものではない。富士本部長、写真はあるんだから、行方不明で藤堂美波の公開捜索をかけてみるのは?」 「そうだな、彼女が存在していたのは事実。まずは、事実を追いかけてみるか。昴、写真を都内全署に送り、公開捜索を」 「分かりました。因みに、進藤由香の戸籍登録は全国に3人いましたが、全員40歳以上で都内ではありません」 「他の生徒を守り、イジメをなくす思いは同じ。でも…その為に考えているものは、全然違う…まるで美波が善で由香が悪」 文面から感じる善意と悪意。 紗夜の心には、書いている2人の姿がいた。
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