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〜大田区東京国際空港〜
凛の車が羽田に着いた頃。
JFK空港発、羽田行きNJA109便が着陸した。
機内アナウンスが到着を告げる。
「乗客の皆さんお疲れ様でした。当機は無事東京国際空港に到着しました。現地時間15時2分、天候は晴れ、気温18度。完全に停止するまで、そのままお待ち下さい。本日はNEW JAPAN航空をご利用頂き、ありがとうございました」
ファーストクラスに乗務員が案内に来た。
「皆様を先にご案内しますので、もう少しお待ちください」
「やっと着いたわね。ねぇあなた起きて、着いたわよ東京に」
天井の収納ボックスが自動で開き、乗務員が2人の荷物を下ろす。
「あの…オペラ歌手の白川 奏恵さんと、演出家の白川 優吾さんですよね?」
小さな声で話し、スマホを取り出す彼女。
ファーストクラスには、監視カメラはない。
「ホントはダメなんだけど…写真お願い出来ませんか? 母が大ファンで、私もその影響で観にも行きました」
「そうでしたか。色々お世話になったから、どうぞどうぞ、交代で一緒に写せばいい。まずは私と。奏恵、立ったついでに撮ってくれ」
「はいはい、いいわよ」
「ありがとうございます。ここを押すだけで」
嬉しそうにスマホを渡し、優吾の隣に座る。
「行くわよ。3、2、1」
「よし、次は代わって私が写そう」
急いで入れ替わる気のいい2人。
「行くよ。3、2、1」
「あら、あの人ったら、急いでたみたいだから、荷物を忘れたんだわ」
通路を挟んで隣の席の収納ボックスに、アタッシュケースがあるのを見つけた奏恵。
「その様ですね。誰かは分かっていますので、こちらで保管して連絡します。ありがとうございました。宝物にします」
乗務員がスーツケースを下ろして、置いた。
「カチッ」
(えっ?)
「ヅドドーン💥💥」
激しい爆音と悲鳴が響き渡る。
外圧には強いが、内圧に弱い機体が吹き飛ぶ。
管制室から見ていた者達も、悲鳴をあげた。
1翼より前の一部から爆炎が噴き出し、操縦席のある前部と、ファーストクラスより後ろが、支えを失って、斜めに落ちる。
「何なの?また羽田で爆発?」
到着ロビーに着いた凛も、その爆音を聞いた。
館内放送が流れる。
「館内の皆さんへ連絡します。滑走路にて、先ほどニューヨークから到着の、NJA109便の一部で爆発があり、現在消火と救助活動を実施しています。館内は安全ですので、落ち着いた行動をとる様、お願いします。詳しい状況は、分かり次第、掲示モニターにてお伝えします」
直ぐにバックからタブレットを出し、SNSをチェックする凛。
「マズイわね…ラブ、聞こえる」
耳の通信機を繋げる。
「今のは爆発?」
「最悪よ、NJA109便のファーストクラス辺りが吹き飛んで無くなってるわ」
「そんな⁉️」
「状況を把握して、また連絡するわ」
通信機をアイに繋ぐ。
「アイ、管制室の通信を傍受して、私とラブに流して。NJA109便で爆発よ」
「了解しました」
滑走路が見渡せる、見送りデッキへ走る凛。
(あの2人なら、ファーストクラスよね)
映像を見る限り、絶望的と思われた。
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