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向かい側に座っているユウゴがオレの頭をぽんと撫でる。
いつもよりトーンがひとつ柔らかいユウゴの気持ちがあたたかい。
なあユウゴ、オレ見つけたんだ。
ユウゴがくれたヒントの先で、凌平がどんな存在かってこと。
「なー、ユウゴはどうやって彼女と付き合ったの?」
「え? いきなりだな。俺から告ったけど」
「すげー……怖くなかった? フラれたらどうしようとか、これっきりになるかもーとか」
「まあな。でも正直脈ありだなって感じだったし」
「なかったら告ってない?」
「んー……時間の問題だったんじゃね?」
「マジか。ユウゴかっけーね」
脈なんてものが見えたならオレも少しくらい告白を考えたかもしれないが、あいにくそんなものは見当たらない。
凌平が優しいのは何もオレにだけじゃないし、抜き合いは“あるある”で、なんてったってオレとキスはしたくないんだから。
他の誰ともあんなエロいことはしてないんだとしても、凌平にとってたまたま同室の相手というだけにすぎないのだろう。
今までだったらそんな関係で十分だった――キスはしたかったけど――が、なんせオレは凌平への気持ちに気づいてしまったのだ。
それだけじゃなく、あの手が触れるのがこの先もオレだけだったらいいのにって一丁前の独占欲がみるみる膨らんでいる。
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