それって最強-1

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 また情けなくて長いため息が出て、閉じたままのテキストを湿らせる。  そんなオレに、目の前に座っているタクが何気なく訊ねる。  当たり前みたいな素振りでそんなこと聞くの、オレは反則だと思うよ。 「純太は恋の病に悩まされてんのな」 「だなあ」 「凌平くんが好きだー、って?」 「そーう」 「付き合いたいわけ?」 「そりゃあそうだろ。……ん? 今なんて?」 「付き合いたいわけ?」 「いや、その前……」 「凌平くんが好きだー、」 「は、はぁ〜!? な、なんで凌平の名前が出、な、」 「いやそんなん昨日から知っとるわ」 「……マジで?」  呆然とするオレに、ショウが微笑んでユウゴはただただ頷く。  昨日は夕方寮に帰って、それからはここに集まるまで顔を合わせてもいなかったのに。  オレよりも先にみんなの方がこの気持ちに気づいていた、ってこと?
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