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目をぎゅっとつむっている間にどうやら野球部の波は終わったようだ。
けれどほっと息をついたのもつかの間、オレの肩はびくんと跳ねる。
どうしようと慌てた結果、テーブルの下に潜ることをオレは選んだ。
「純太? 何やってんの?」
「しっ! 凌平が来る」
「は?」
凌平が部屋に戻ってくる時の足音をオレはよく覚えている。
スリッパを少し床に擦りつけながら歩く癖も、歩幅も。
近づいてくるほどに心臓の根っこが浮つくこの感じ、ああ、ずっとずっとオレはそんなだったな。
タクたちに、凌平にはオレはいないと言ってくれと頼んで膝を抱えこむ。
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