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冷やかすな、とどうにか取り繕った凌平は、オレを部屋で待つと言って談話室の出口へと向かう。
この状況から脱せるとひとまず安心したし、オレもすぐに戻ろうと誓う。
けれどタクが凌平を引き止める。
「なあなあ、凌平クン」
「ん?」
「アイツ、アンタのことマジで気に入ってるみたいでさ。馬鹿だけどいいヤツだし、“うちの”純太のこと、よろしく頼むわ」
「…………アンタに言われなくても」
テーブルの下のオレにタクと凌平ふたりの表情は見えなくとも、どこか棘があるタクの口ぶりと、敏感にそれを拾う凌平に空気がピリつくのが分かる。
どちらともとそれなりの時間を過ごしてきたから。
「はは、凌平クン顔こっわ!」
「タク感じ悪すぎ、やめろ……凌平くんごめん、タクは純太のこと気にかけてるってだけなんだけど……言って聞かせとくから」
「はぁ? ショウお前は俺の母ちゃんか」
「ガキくさいことするからだろ」
「へえへえ、すみませんね」
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