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オレたちはきっと、他の寮生たちより特別に仲がいい。
それは抜き合いを始める前からだってそうだ。
ああいうことをするようになって、それでも気まずくならなかった仲が嬉しくて。
ただ、こんな目を向けられるのは初めてで。
どこか拗ねたようなセリフと共に、だけど熱っぽく、オレだけをまっすぐに見ている。
「俺さ、昨日すげー嬉しかった」
「っ、昨日?」
「純太が早く会いたいって言ってくれたの。あとは俺に触ってほしいとか、くっつきたいとか。泣いてんのも可愛かったし」
「っ、な、泣いてんのバレてたの!? うわー恥ず……もう全部忘れてほしい……」
「無理、もう何回も思い出してるし。俺さ、勘違いしたくねえからずっと真に受けないようにしてたけど……もうそれもやめるわ。サッカー部のヤツらに牽制されたし?」
「……ごめん凌平、バカにも分かるように頼む」
勘違いしたくないと言われるのは覚えている限りでは2回目だ。
1回目は、初めてオレからも凌平に触れた日。
そうだ、あの時もどういう意味だと聞きたかったのに、凌平に翻弄されて疑問はオレの中に引っ込んだままだった。
聞いていいのかな、聞いたらオレたちの何かが変わってしまうんだろうか。
怖くて、だけど凌平ともっと仲良くなれる可能性もあるのなら、オレはそっちに進みたい。
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