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告白なんかするつもりはなかったけど、いつかそんな日が来たらもっとかっこよく決めたかったのにな。
実際は鼻をグズグズと啜っている。
そんな情けないオレの腕を、立ち上がった凌平がそっと引く。
「純太、あっちに座ろ」
「……どうしても?」
「ああ、頼む」
力を借りてどうにか立ち上がると、室内へといざなわれる。
再び腰を下ろしたのはオレのベッド。
並んで座ると、オレの右手は凌平の左手の中に納まってしまった。
「っ、なんで手つないでんの」
「いや?」
「……いやじゃねー。めっちゃドキドキする」
「うん、俺も」
なあ純太、聞いてくれる?
いつもの心地いいトーンの優しい凌平の声に、オレはいつだって断る術を持たない。
うん、とだけ頷いて、不格好に抱えた膝に額を預けた。
「純太のこと、マジで好き。キスしなかった、ていうか出来なかったのは、好きだからだし」
「……もっと分かりやすく」
「ふは、うん。うーん、俺にとってもさ、キスって好きなヤツとするもんでさ。純太にしたいって言われた時すげー嬉しかったけど。純太はそういう意味でしたいんじゃないんだろうな、って思ったから。俺だけ好きですんの、虚しいな、っつうか、したらしたで止めらんなくなりそう、っつうか?」
「うう~」
「純太? ふは、なに唸ってんの?」
オレの髪を空いたほうの手でかき混ぜてくる凌平。
そのひとつひとつの仕草が全身をビリビリと痺れさせる。
なんだこれ、なんだこれ。
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