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凌平の名前をくり返しながら鼻をすり寄せて、凌平のにおいを肺いっぱいに吸いこむ。
体の中心が熱くなり始めるのは、もう条件反射のようなものだ。
好きなヤツのにおいって甘い毒みたいだ。
ドクドクと血液が体中を駆け回るのを感じながら、オレは凌平の目を覗きこんだ。
「な、凌平、両想いなら、してくれる?」
「ん?」
「キス、したい」
「純太……」
凌平の手がオレの耳ごと包むように頭を撫でてくれる。
コツン、と額が重なって鼻がぶつかった。
それから凌平の親指の内っ側がオレのくちびるをひどくゆっくりと辿る。
「は、っ、凌平っ」
「俺もずっとしたかった……マジでするけど、いい?」
「ん、はやく」
スローモーションのように、静かに凌平のくちびるが近づいてくる。
途切れ途切れの息が恥ずかしくて、ドキドキは限界に達して、涙がぼろりと落ちた。
凌平は濡れた頬をぺろりと舐めて、それから生まれて初めてのキスをオレにくれた。
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