紋章と五芒星

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紋章と五芒星

37c001a3-9a78-4d27-a342-3166fc87cd46 ―――コリータ王国26日目―――  僕とアリスとプリンは宝物庫へと向かっていた。暗黒龍……いや、邪神トカゲネビュラの住処から回収した宝物に紋章がないか調べるためだ。 「アリス、紋章ってそもそもなんだい?」 「うむ。わしが持っていた神器じゃよ。あらゆる邪気から身を守ってくれる」 「そうなのか。でも邪神っていうくらいだから、紋章持ってたら、トカゲは自分のうちに帰れないよね?」 「それもそうか!はっはっは!そうじゃな。今回は期待が薄いかもしれぬな」  僕たちは宝物庫を開けた。そこには、たくさんの黄金や武器、金貨が積み上げられている。そして、一番見えやすい場所に紋章があった。 「あったぞ!これだっ!」 「あったんかーい」  邪神は、家に入れないじゃないか。アリスは紋章を首にかける。すぅーーーーーと、薄い光の壁が辺りに広がる。 「うむ。ちょっと力が弱まってはいるが行けそうじゃ。ハルト、この紋章に触れて、魔力を送ってくれ」 「こうか?」 僕は他のお宝を見ながら紋章に触れる。 「へぇ、紋章ってやわらかいんだな」 「!!!??」 ん?やわらかい? 「ハルト……乙女の胸を堂々と揉むとはいい度胸だな!!」 「ちょ!まてっ!誤解だ!」 ゴゴゴゴゴゴ…!!!? ゴツンッ!!! 「カハッ…」 手加減のないグーパンが顔面に入る。どんまい、僕。 「ねぇさま!わたしも触ったことないのに!」 「ちょ!やめんか!プリン!」 キャーキャー言う2人をよそに、宝物の物色をする。 これと、これと、これと… 「アリスさんや。楽しんでいるところ悪いんだが、この宝物を皆に分配してもいいかな」 「それはハルトのもんじゃ。好きにせい。わしは紋章以外に興味はない」 「わかった。ちょっとマリンを呼んでくるよ」 そしてマリンと打ち合わせし、後日お宝を分配することにした。 ―――コリータ王国27日目―――  国作りは順調に進んでいた。あの砂漠だった場所がすっかり様変わりした。  今日はギルの部下、ジルを中心に、城の南西部外壁内への樹木や農地の区画割りを行う。ジルは元農家の出らしい。  アリスたちは東側に丘を作り、エルが果物の木を植えることになった。丘には洞窟も作り、洞窟を好む亜人族がいても大丈夫なようにと追加した。  この城壁内の魔物はすべて狩ってある。そして、城壁内での狩りや殺しは今後一切禁止した。 「主様、おはようございます。今日もいい天気ですなぁ」 「ゲンゴロウさんおはようございます。今日はおやすみの日でしたね」 竜族の族長ゲンゴロウ。町の噴水前でベンチに腰かけている。 「ゲンゴロウさん。飛龍、いや、リンのおじいさんの行方はわかりましたか?」 「いいえ、あの一件以来、どこへいってしまったんだか。引き続き探させます。ところで、ドワーフの集落より昨夜、連絡があり、近々こちらへお伺いしたいと言っておりました」 「ほんとですか!助かります!是非!」  飛龍はプリンが見かけている。そして邪神トカゲネビュラに操られてる竜族の中にもいなかった。どこに行ってしまったんだろう。引き続き捜索してもらうとして、ドワーフ族との接点が先だな。マリアの像の件もあるしね。 「ゲンゴロウさん、明日、城に来てもらえますか。また案内役を行かせます」 「わかりました。わしもドワーフの話をまとめておきます」  ゲンゴロウさんと別れ、町を見て回る。そして、僕はガッコウから城下町を眺めていた。  魔導学校、製錬学校、剣術学校、農業学校も欲しいな。見張り台を改築してみるか。あとは、この国の名物になるもの、外の国にむけて売れるもの… 「なにをブツブツ言っておるのじゃ?クチャクチャ」 イカをほおばりながらアリスが来た。 「いや、この城を発展させるためのアイデアをね、色々と考えてた」 「うむ。ハルトにはまだ五芒星の話はしてなかったな」 「五芒星?」 「この中央都市を中心に、北、東、西、南東、南西、そしてここ中央の6箇所に神の血を持つものを置きこの紋章を使う。すると、大結界が張れるのじゃ」 「へぇ、そうなんだ」 「ゼシカを西、東にはエル、南にはリン、中央はメリダの子で良いと思うておる。ただ、北だけは魔王じゃからのぉ」 「ふぅ~ん、そうなんだ」 「おヌシの子供の話じゃぞ?」 「へぇ…え?なんつった?」 「わしは!最初から!6人の神の血を引く子を!お主に作らせるのが目・的・じゃ!」 あぁ、そんなこと言ってたなぁ。完全に忘れてた。 「ねぇさま~なにしてるの~お茶しましょうよ~。ルンルン~」 あぁ、お花畑が近づいてくる。 「そもそもじゃ!おぬしはメリダと!その…あの…キ…キスをしたではないか!もう子供は産まれるんじゃないのか!まだなのか!おいっ!」 「え…?見てたの…」 「ねぇさまっ!楽しいお話してるのね!ちょっといいかしら!」 なにやらゴニョゴニョとアリスの耳元でささやくプリン。顔が赤くなっていくアリス。 「そ!そんなことをしないと子供はできないのか!キ、キスしたら、天から授かると!教典書いて…あわわわ……」 卒倒しそうなアリスをプリンが支える。 「よいしょっと。ねぇさまいくつになってもかわいいのね!さっ!お茶にしましょう!」 手を引かれ、僕もお茶会に連れていかれる。たぶんあれだ。メリダとのことを色々聞かれる。最悪だ… 僕は現実逃避モードに切り替えた…
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