【4】ちーママさん(カナ視点)

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 うん、ちょうどいいね。うん、ちょうどいい。と、父子が微笑みあった。  血は繋がっていないけれど、やっぱり育ての親と子としての絆はしっかり目に見えてきている。  それでもカナは首を振る。 「む、むり。十七歳の、本当のお母さんとは違うもの。う、うちのお母さんは? お母さんは航の成績をずっとみてきたじゃない」 「そのお母さんがな。もうカナにさせなさい――ときっぱり言うんだ。できなくてもやらせなさい。耀平さんも甘やかしすぎと逆に怒られたぐらいだ」  確かに。カナ自身も『お母さん、任せて』と航を引き取ったのだ。ついうっかり、情けなく頼ってしまうところだった。しかも耀平兄さんを『だめな夫』にしてしまうところ……。 「うん、わかった。行くよ……、わたしなんかでよければ」  意外だったのか、目の前で父子が揃ってとてつもなく驚いた顔を再び揃える。 「ほんとうか、カナ」 「カナちゃん、ほんとに!?」  え、なに。その反応? でもカナもすぐにわかった。カナにお願いして、すぐに了承してくれるとは思わなかったのだろう?   気難しいカナがそっぽを向き、ではどうしようかと父子で話し合っていたような気もしてきた。  それならなおさら! 「いちおう、航のお母さんだもん。こんな時にちょっとでも役に立たないとね……」  自信なさげに、でもそれを悟られないよう強がって言ってみた。  よく言ったカナ! カナちゃん、ありがとう! 大好きな兄さんと航が揃ってカナを腕に抱いてくれたので、ますます引き下がれなくなった――。  ――という経緯にて、本日、カナは航の高校へ出掛けようとしているところ。  だからカナはがちがちに緊張している。
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